「音楽には人の心を動かす力がある」
というのはあまりによく聞くフレーズだが、実際のところ当たっていると思う。
音楽そのもの、曲そのものの純粋な美しさ、また、TVや映画、アニメ、ゲーム、ミュージカルその他様々なメディアに関連付けられた音楽に高揚感を覚える人はいっぱいいる。
僕だってそんな人間の一人だ。
今まではそれを受け取る側の人間だった。
でも、今度のLIVEでそれを与える立場の人間になってみて、僕は、そのような場を提供することに少しでも参加できてとても嬉しかった。そんな場に出会えて幸せだと思った。
3rd LIVEでKUESを知って、演奏を聞いて、胸の奥から沢山の気持ちが溢れてくるのを感じた。
自分の求めている何かにぴったりとはまったような気がした。
自分の技量不足に足踏みしたけれど、何もしないよりはましだ、と思い切って入ってみた。
それから、LIVE当日が訪れるまでは今思えばあっという間だった。
初日は、開演前、体の芯から響くような緊張に包まれていたことを覚えている。
舞台の薄暗さが緊張に拍車をかける。
司会の紹介が進む。
演奏の準備をする。
スポットライトが当たって、演奏が始まる。
それからは無我夢中だった。演奏に沈み込む。
反面、冷静な自分がいて、頭の半分でそんな、演奏している自分を品定めしているような気がした。
演奏が終わった瞬間は、はっきり言って何も感じなかった。
楽しかったとか、緊張したとかよりも、胸の辺りに白い空洞ができたような、一息ついた、といった妙な感じだった。
すぐに次の準備に追われた。Disney Medleyは楽しかった。
ちょっと照れくさかったけど。
クラッカーを鳴らした後のお客さんのすぐに来た拍手が印象的だった。
自分たちも楽しめたし、お客さんにも楽しんでもらえたことが嬉しかった。
二日目は、一日目よりも楽しんで弾くことができたと思う。
演奏後、胸の内に言い表しがたい、独特の気持ちのよい疼きを覚えた。
他のグループの演奏・演出を楽しむ余裕も出てきた。
それぞれのグループが様々な色合いの個性を見せていた。
どれ一つとして同じものはないし、どれも皆素晴らしかった。
Mambo Medleyについて。
いやそりゃあ楽しかったですよ。
一日目は、お客さんの目の前ということもあり、すこし恥ずかしく、かなり固かった気がしたけれど、
二日目は少し慣れたし、拍手も大きかったので楽しんでやれたと思う。
二日目が終わった時には、達成感と高揚感、それに二日分の疲労がどっと押し寄せた。
LIVE後の三条での打ち上げはかなり皆ハイテンションだった気がする。
"気がする"のは、はっきり覚えていないからで、
控え目に言って人生一二を争うぐらい楽しかった、かもしれない。
それだけLIVEが充実していたということか?
物凄く楽しかった、と思う(苦笑)。
個人的な事を言えば、僕は実際の所、大人数の前に出て何かをするのがそれほど得意な人間ではないし、どちらかと言えば苦手だ。
何かを晒すという事は、多かれ少なかれ勇気の要ることで、僕の持っている勇気(度胸)の量はそんなに多くはないと思っている。
今回のLIVEで、今までの僕にとっては、色んな意味でかなり特殊なことをした。
大勢の前で進んで自分をさらすということ。
率直に言ってやってよかったと思う、本当に。いい経験になったし、実際楽しかった。
ところで、他のメンバーは今回のLIVEの副題をどれほど意識していたのだろうか?
3rd LIVE しか見ていなかったのではっきりとは言えないけれど、単に3rdに比べてなら、Entertainmentの要素が大きく広がったと思う。
副題に合わせてLIVE全体が志向したとするなら、それはとてもおもしろいことだ。
多かれ少なかれ、皆の心に「Keep Ultra EntertainmentS!」が刻まれていたのだろうか?
個人個人がグループのメンバーとなり、グループを構成する。
グループが演奏・演出を通じてEntertainmentの1ピースとなってLIVE全体を創り上げていく。
「K.U.E.S.」する。
とてもすごいことだと思う。
今度のLIVEで僕はもう一つの舞台を知った。
LIVEを創り上げるまでの、演奏練習、演出の構想、準備、広報など、裏の舞台。
表から見れば当たり前に会場があり、ビラがあり、内装があり、演奏・演出がある。
でも当事者として参加してみて、それらは決して当たり前ではないのだと知った。
長い時間を要して、LIVEを完遂できるように、色々な準備をする。
たくさんの個性が補い合ったり、全体を引っ張ったりしながら、大きなものが出来上がっていく。
「ああ、これが何かを創るということなんだ」と実感した。
多くの人たちがそれに関わってくれた。
醍醐交流会館の方々には、本当にお世話になった。
とても良心的な態度で接して下さり、LIVEをサポートしてもらった。
ライトや音響を担当していただいたPAさん、
練習場所を提供していただいた各センター、
エレクトーンの搬入や、その他の道具類を運ぶのを手伝ってくださった方々。
何よりLIVEを見に来てくれた観客の皆様。
みんながこのLIVEを支えてくれた。ありがとうございます。
何にしても完成品が与えられることに慣れてしまっていることがあまりに多いので忘れがちだけど、こんな風にして何かを創り上げていくものなのだ、と再確認させられた。
失敗もかなりしたし、不十分だと感じたこともたくさんあった。
でも、いい経験になったし、そうやって何かを創り上げていくことは本当に楽しかった。
舞台へ上る時のドキドキと不安と、演奏中に感じる楽しさと高揚感と、他の演奏を見て味わう感動と、終わった時のあのお客さんの拍手と、それからくるあの大きな達成感と・・・。
色々なものを感じさせてもらった、あの場にいれてよかった。
もっと頑張れば、もっと楽しめるし、もっと観客の人たちを楽しませることができるかもしれない。
もっともっと充実したLIVEを創り上げることができるかもしれない。
まだまだ大きく、"Ultra"を超えて"Unlimited"に向かって。
そんな風にKUESが停まることなく、前に進んでいくことを願って・・・。